場所は都内板橋区

クライアントは女性です。お婆ちゃんが建てた家を孫が再生。世代を超えて受け継がれてきたものを是正しながら今の生活スタイルに合わせていく。すばらしいことです。日本の在来木造の家は手を加えさえすればいくらでも延命が可能です。そして終焉の時期はその家に対する思い入れとコストバランスを鑑みて。

都内の住宅密集地では1階の採光がほとんど期待できません。というわけでLDKのパブリックゾーンは日中明るい2階へ、夜しか使用しない寝室や水廻りは必然的に1階へ。それでいいと思います。

古家のリノベをする際、奇をてらうようなことはせず、また眩しいくらいの白色で明るく統一することもせず、その家が建った当時の素材(家具や照明も)を駆使して自分らしく馴染ませながら再構築する・・・ということを意識すると全体が違和感なくまとまります。つまり既存と切り離すのではなく寄せるデザイン。かと言ってよくある感じではつまらない。どこか懐かしいけど唯一無二の存在感と宮田アトリエらしさ。そして目指したのは当時のモダン住宅のような凛とした佇まい。

今回の工事、工務店の大失態により大幅に工期が遅延してしまい監理者としても申し訳ない気持ちでいっぱいです。付き合いの長い工務店。「いつもの感じ」で通じてしまう心地よさ。そんな甘えがお互いにあったのだと反省しています。とは言え、最終的にはいいモノに仕上がったことは間違いありません。ありがとうございました!