場所は鎌倉市長谷

私と同年代のクライアントは都内で会社を経営し、すでに葉山にマンションを所有。そして今回は鎌倉市長谷に別宅として古民家を購入+再生・・・と、まったくうらやましい限りです。その古民家は築80年。海まで1分の立地にもかかわらず、驚くほどのコンディションでした。クライアントとの顔合わせの際、二人のなかで今後の方向性はすぐに一致。それは・・・

「フルリノベするのはもったいない」

というなんともめずらしい答えでした。桧(ひのき)造りの平屋の上に日本瓦の屋根がどっしりと鎮座。何度か増築を繰り返してきたこの家がこれまで大切に住まわれてきたことは少しの調査で手に取るようにわかりました。とは言ってもそのまま住めるわけではありません・・・

今回工事として外観については保存と修復に重点を置き、内部の既存部分については補修+修復+是正、水廻りと増築部についてはいったんスケルトンにしてからの再生です。電気や給排水についてはすべてやり替え、LDKについてはウチのいつものエレメントをバランスよく配置。浴室はハーフバスを採用し腰上は総ヒノキ。

床下にもぐり込んだり天井内をおそるおそる這ったりすることを考えると職人にとってはいったんすべてをスケルトンにしたほうが仕事は簡単かもしれません。「でも一度壊したものはもう戻せない」誰もがそう思えるほどこの家はしっかりと美しく建っていました。そしてこれからもずっと。