場所は都内世田谷区某所

築40年以上の3階建鉄筋コンクリート住宅を購入されたオーナーからの依頼によるリノベーションです。最高の立地に建つ、希少なモダン住宅。

狭小敷地いっぱいに建設された建物はシンプルな構造で、60年代にRCで戸建住宅を建てた前オーナーのエキセントリックな人物像を想像するだけでも楽しい物件です。

現オーナーご夫婦は食に対してこだわりがある方たちで、当初からキッチン主体のプランニングを要望されていました。これはそんな設計条件に対する、間口3.6mの限られた空間の中でできる私たちのベストと言える回答です。

キーワードは・・・「みんなで作りみんなで食べる」

文字通りキッチン中心、つまりⅠ型キッチンを大胆に家の中央に配置しました。そして半分を調理スペース、残り半分を食事スペースに。しかしここでは公私男女などの区別は無意味です。もてなす・もてなされる、そんな遠慮も不要です。ご夫婦で、友人同士で、作るときも食べるときもすべて全員参加型。カウンターレストランのような雰囲気で座面を立ち上げ、床下は収納にしました。

以前は隠れていた柱や梁、床の荒々しいコンクリートの質感がとても味わい深く、全員一致の意見ですべて仕上げとしておもてに見せることにしました。工事を始めてからのこうした新たな展開・発見(含ハプニング)、これがリノベーションの醍醐味だと思います。