場所は鎌倉市内某所

クライアントは新婚の若いご夫婦。ご主人は東京通勤の会社員、保育士の資格を持つ奥様は託児所を運営したいという希望を持っていました。そして十分な庭のある築55年の大きな古民家は鶴岡八幡宮にほど近い立地にもかかわらず観光客や車の騒音よりも鳥や虫の声のほうがよく聞こえる趣のある場所に佇んでいました。

現調時には雨漏りがあり、ガラスはひび割れ、床は軋み、隙間風も吹き込む家でしたが、それをいつものように壁、床、天井すべてを剥がして是正。そして劣化が激しかった外壁も屋根も今回は改修対象です。軽量化の必要性から日本瓦をすべて下ろし、腐食した亜鉛鉄板の屋根と併せてガルバリウム鋼板の屋根に全面葺き替え。外壁は既存の雰囲気を踏襲し杉板と漆喰塗りのコンビネーションで仕上げました。室内は古民家の持つ圧倒的な雰囲気を消すことなく現代の暮らしに違和感のない間取り・仕様に変更。仕上げは白壁・ラワン・和紙・杉板・モルタル等々昔から日本の暮らしの中にあった素材をアレンジして各部屋を仕上げました。

空調効率だけを考えれば部屋を小さく割ってその中で暮らせばいいのでしょうがそれではつまらない。最小限の間仕切りを設けただけのフルオープンプランです。古民家で遊びまわる子供たちを妄想しつつ、日々の生活が「快適」なだけでなく「楽しい」家作りを心掛けました。