場所は鎌倉市内某所
北鎌倉。明月院の奥の落ち着いた雰囲気の中にひっそりと佇んでいる築50年の家。施主も家と同年代の大人のご夫婦。
10年前に購入し今まで他人に貸してきたこの家に自分たちが住むことになり、今回のフルリノベーション依頼となりました。構造的に不安要素のあった家でしたが今回の工事でそれも全面的に払拭。断熱・防湿・設備の是正はもちろんですがプラン的にも当時の面影は全くありません。階段の位置すら変わっています。それができるのも在来木造ならではの醍醐味であり、2×4やRC構造の家ではそうはいきません。
規模の大きなこの家、各階で用途を使い分けています。各種セミナーや料理教室などを主催することの多い施主からの要望で1階は大きなダイニングテーブルとグランドピアノが置けるセミパブリックな空間に、2階はご夫婦ふたりだけのLDKと寝室・書斎のある落ち着いたプライベート空間になっています。つまりすべての設備がダブルで用意されている2世帯住宅仕様の家。外観は既存の家に敬意を込めて補修程度の工事としました。インテリアは西洋文化を取り入れ始めた頃の近代住宅をイメージしてまとめましたが決して懐古趣味ではありません。
自然素材を多用したこの家は今よりも20年後のほうがステキに輝いていることでしょう。海外生活の長かったご夫婦が久しぶりの日本を実感するのに理想的な家になったと自負しています。