場所は鎌倉市内某所
クライアントは新婚の若いご夫婦。渋谷勤務のご主人ですが通勤の苦労を背負ってでも憧れの鎌倉に移住を決断しました。
この古民家、かなりの破格値で購入できたようです。価格を聞いて私もおどろきました。購入費と工事費を合わせても郊外に中古マンションも購入できない価格です。高台にある築45年の小さな平屋・・・いいですね。構造的にもしっかりしていてまだまだ再生可能な古家です。クライアントからの要望は明確でした。
「ミヤタさんの作る家がスキです。暑さ寒さよりもカッコよさを優先させたいんです!」
基本となる防湿・耐震・断熱工事は施しつつ天井を壊し野地板をむき出しに。LDKは大空間とし寝室や水回りの天井は極力下げてその上部をロフトにしました。つまりこの家に無駄なスペースはまったくありません。クロゼットや納戸は設けていませんが寝室の一部を衣類棚としてそれ以外には広大なロフトすべてを収納スペースに転用。限られた床面積を有効利用するためには室内を「面積」ではなく「体積」で考えることも重要です。
都心の勤務先近くにマンションを購入するか、遠距離通勤をしてでも理想の庭付住居を手に入れるか・・・価値観は人それぞれだと思いますが、私は後者に賛同します。新宿育ちの私でさえ東京にはもう戻れません。都心にいないとできないことなんて今はもうなにもありませんから。