場所は世田谷区豪徳寺

住宅地としてはおそらく日本一単価の高い土地です。なんとそこにあるのは平屋。贅沢ですよね。うらやましい限りです。そして今回のクライアントは女性。最初に問い合わせをいただいてからちょうど1年でのお引渡しです。

現地調査の時の印象は「面白いのにつまらない家だな」でした。つまり立体として表情豊かになる可能性があるのに空間としては平凡でうす暗く持っているポテンシャルを発揮しきれていない残念な家。そしてこの家にはハイサイドライトが設置されていましたがそれがまったく活かされていない。光を取り入れるためのハイサイドライトの先にあるのは天井の低い和室の下がり壁。これでは宝の持ち腐れです。

今回の計画ではLDKの天井を可能な限り勾配天井としてその光の差す方向に家の核ともなるアイランドキッチンを設置しました。そして奥にある客間からも光を感じられるように天井までの高さの障子を設け、普段は客間もLDKの一部として活用できるようになっています。理想としてのイメージは戦後の転換期に立ち、若き建築家たちが新しい日本の暮らしに思いを巡らせた頃の家。つまりジャパニーズミッドセンチュリーです。いかがでしょうか?

知人が話してくれました。

「建築はチームである。信頼できる人たちと組めるかどうかで結果は分かれるがプロジェクトの最終責任は設計監理者が負わなければならない。仮に失敗しても職人を責めてはいけないし、よい職人はそれを理解して次はより意を汲み取ろうとしてくれる。それが信頼関係であってそういう仕事を続けられることが人生の幸せだ」

はい!胆に銘じます!

私としても基本的には職人が一生懸命作ったものを「それ壊してやり直し」と簡単には言いたくないので現場での事前伝達が最重要。「この設計屋うるさいぞ」と思わせたら半分勝ちです笑。

毎度のことですがクライアントをはじめ携わったすべての人に感謝です。

ありがとうございました~