場所は静岡県三島市

今回問い合わせをいただき初めて訪れた場所でしたが風が通り冬も温暖でとても気持ちのいいところです。鎌倉からの往復も箱根新道を使えばあっという間。

クライアントはご夫婦二人暮らしでお爺ちゃんの代から受け継いだ増築を重ねた小さな家の改修です。お二人の自宅は熱海にあり、事務所はなんと都内。なのでおそらくこの家は別宅兼創作の場として使われるのかな?というイメージで設計開始。

ご主人は写真家、奥様はマルチ作家さんというクリエイティブなお二人に普通の家は似合わない笑!戸建ての平屋という優位性をフルに活用し、天井なんてないほうが気持ちいいですよ!とか床はフローリングなしで土間のままでいきましょう!とかワクワクするような提案をすべて受け入れていただき、普通のリフォーム業者が見たらひっくり返るような家に生まれ変わりました。つまり不要で薄っぺらな偽物は削ぎ落とし、最低限必要な本物だけを残していく「引き算の建築」という手法。こんなミニマルな家、いかがですか?もちろん暑い寒いは多少ありますがそれも年間通せばわずかな期間です。魔法瓶のように断熱材で密閉された家で暮らすのと残りの大部分の時期、風を感じながらゆらゆらと暮らすのとどちらがシアワセですか?もちろんこれは静岡の温暖な気候があってこその発想なのかもしれませんが大切なファクターのひとつだと考えます。

それとポイントとしてはここにあるようなボロい古建具をセレクトする勇気が成功の秘訣だったりもします笑。あとは思い入れとか潔さとか信頼とか。

実は私も小さな自分のアトリエを鎌倉で探していて「もしもこれが自分の仕事場だったら」という想いで設計した家なので、とても満足しています。そしてこれは「家ってデカけりゃいいってもんじゃないぞ!」のお手本です。ついでに「天井がなくても完成なんだぞ!」とも言っておく笑。

このご夫婦ならこんなクセの強い家でも難なく住みこなしてくれることでしょう。今よりも数年後の姿がとても楽しみです。

関係各位への感謝を込めて、まずはおめでとうございます!