場所は神奈川県逗子市。海に近くゆるりとした雰囲気にもかかわらずハイエンドな人たちも引き付ける不思議な魅力を持った街。

クライアントは40代のご夫婦と子供3人のご家族で「自分が親にしてもらったことと同じことを子供にも経験させたい」と広い空と大きな庭を求めて武蔵小杉のマンションからの移住です。

8月に電話で問い合わせをいただいてその3日後には現地調査+顔合わせ。ワクワクしながら到着した現地には、広くて、古くて、平屋で、コの字で、ボロくて・・・という私の大好物が広大な敷地の真ん中にドンと鎮座。それはまるで大きなまな板の上に乗っている食材のようにも見えました。

引越し希望(工事完成ではない笑)を3月末と提示され、慌てつつもしっかりとじっくりとその古民家と向き合いながら他の案件の合間を縫っての即設計開始。いつも設計契約時に思うことですが、なんの迷いもなくこれからのご自分たちの人生の重要な部分を私に託していただけるわけですからそれに答えないわけにはいきません。

施工は慣れ親しんだいつもの工務店。腕のいい大工との作業は見ていて気持ちがいいし、安心感もあります。途中、工務店内でのドタバタもあり、最後の締めでこけてしまったりとクライアントにご迷惑をおかけした部分もありましたが、こうして振り返ってみると「よくここまでやってくれたな」と感謝の気持ちでいっぱいです。

施工内容の詳細については割愛します。書ききれません。ここまで手を入れたことは過去にない、つまり躯体以外ほぼ全部。いや、基礎や躯体にもかなり手を加えました。とはいえ新築そっくりさんではつまらないし、意味もない。古民家が持っているポテンシャルを最大限に生かし切り、新築では出せない圧倒的な雰囲気を再現し、時間とともに枯れてしまった輝きをもう一度取り戻したい。そんな想いのこもった住まいです。