場所は神戸市灘区。ウチの仕事でいちばん遠い家、そしていちばん大きい家。

クライアントは30代ご夫婦の共働きスタイルで、26年前の震災にも耐え抜いた築56年の古家の大規模修繕です。祖父が建てたこの家を孫が再生。すばらしいことです。

震災の傷跡が散見され、内外共に劣化も進んでいたのですべてに手を加えました。もう既存の面影はまったくありません。そして目指したのは「60年前に新進気鋭の建築家が作ったモダン住宅」。設計段階では常にミッドセンチュリー期の日本を意識しています。試行錯誤しながら新しいことを模索しつつ、自分たちで戦後の日本を変えてみせるという気概。そんな時代の建築をイメージしています。いかがですか?

残されてきた古いものが好きで、壊されていく街並みが忍びなくて、そんな想いではじめた古家の再生ですが、気が付けば25年。キーワードは

「わきまえる」「よりそう」「つくろう」「しつらえる」

つまり奇をてらうようなことはせずに粛々と、です。先の見えないご時世ですが日々ガンバります、楽しみます!

初めての工務店(あかい工房)もこちらの想いをそれ以上の仕事で返してくれました。特に監督さんがすばらしかった。現場の先を読んで、こちらの気持ちを汲んで、職人たちを叱咤激励しつつ同じ方向を向かせることができる人。そんなじつに気持ちのいい現場でした。そして今、神戸市内のとなり町で別の現場が進行しています。もちろん施工があかい工房であることも当然の成り行きでしょう。

ありがとうございました!