場所は藤沢市片瀬海岸の洲鼻通り沿い
国登録有形文化財の玉屋本店。創業明治45年の歴史ある建築物を改修しました。最初に問い合わせをいただいた時の感想は「え?国の有形文化財をいじってもいいんですか?それも私が?」です。とても光栄な話。
過去の文献や文化財登録時の資料を読み込むと耐震補強の必要がないくらいしっかりとした作りとのことでホッとひと安心。工事概要は羊羹を主力商品とした物販店を飲食+物販店に用途変更するというもの。今回は一期工事となっていて一階店舗内のみの改装で今後、二期・三期と工事は進む予定。
もちろんすべてを撤去してスケルトンからの一新なんてあり得ません。残すべきものはそのまま残し、改善すべき部分は光が当たるようにブラッシュアップ。流行りの意匠もアッと驚く斬新な仕掛けもないけど、50年後もここにこうしてあればいいな、という想いを込めてデザインしました。
大谷石をメインのマテリアルに採用し、かなり暗かった店内の照度を確保するためにできるだけ多くの間接照明を仕込みました。もちろん下品にならないように繊細に。中央のショーケース兼カウンター什器ももちろんワンオフで新設です。天板はヒノキの無垢集成、幕板は大谷石、巾木は銅板貼り。重厚かつ緻密なディテールに注意を払いました。いかがですか?
残されてきたものには残すべき理由があるはずです。そして時間と共にくすぶってしまったものをもう一度輝かせたい。つまり目指したのはずっと前からこうであったかのような佇まい。住宅も店舗も想いは同じです。
玉屋さん、おめでとうございます!
施工担当した平和工芸さん、お疲れ様でした~
二期工事は二か月後!
引き続きよろしくお願いいたします!